2010年6月11日発売「週刊朝日」にて著書「事件現場清掃人が行く」が紹介されました。以下掲載記事です。

孤独死や自殺などの事件現場の清掃を請け負い、死者の痕跡をなくす特殊清掃。著者は七年間で千件以上を手がけた。

死後時間が過ぎると体液は布団や畳を通りぬけ、マンションの床下のコンクリートに達する。匂いを断つには、床材を張り替えるだけではなく、コンクリートを削り取りコーティングする。遺品整理からうかがえる死者の孤独な日常。遺族や大家の困惑。さらに元料理人の著者が、なぜこの仕事にたどり着き、売り込むのかが綴られる。
 
孤独死の多くは独居老人ではなく、生活保護を受けたり日雇いなどの不安定な仕事に就いた五十〜六十代の男性だ。このビジネスが生まれたのは男性の生涯未婚率が一割を超えた二〇〇二年ごろだ。二十年後にはこれが三割になるという推計もある。「孤独死がつらいのは、(略)その死が悲しまれるどころか迷惑がられるところ」という一節に、負の近未来が見える。(杉山 春)