1章目:一人暮らしで持ち家のあるシニア層は増加傾向
高齢者が一人暮らしする理由とは?
最近は社会構造の変化によって核家族化が進み、老後も子供たちに頼らず一人暮らしを続ける人が増えてきています。家族制度を含めた「社会構造の変化」によって、一人暮らしの高齢者は今後ますます増えていくと予想されています。ひと昔前は当たり前だった3世代家族は減り、ライフスタイルの近代化や仕事の変化によって夫婦や親子だけで構成される家族がほとんどになりました。高齢者の価値観にも変化が起こり、「老後は子供たちに頼らず自立したい」という人が増えていることもあり、結果的に単身高齢者が右肩上がりで急増しているのです。
高齢者の一人暮らしが引き起こす問題とは?
単身高齢者の暮らしは、個人だけではなく社会全体にまで大きな影響を与えます。例えばニュースでも取り上げられる孤独死の問題です。定年を迎えた65歳以上の方々は、第二の人生を歩もうと張り切っている人も多い世代です。しかし仕事をしなくなった途端に社会との関わりが薄くなり、やりがいや生きがいを感じる機会がグンと減ると、生活意欲の低下や認知症の進行などの今までに遭遇したことの無いトラブルに見舞われてしまいます。それらは結果的に社会問題となっています。
2章目:事故物件になる孤独死のケースとは?
すぐに発見された孤独死の場合は?
病気で人が死んだ家は事故物件になると思われている方もいるかもしれませんが、一般的な「病死」ですぐに発見された場合であれば、事故物件にならないことがほとんどです。ただし、状況によっては事故物件になってしまうこともあります。というのも、家やマンションなどが事故物件になるのは、その家で住む人にとってイヤな気持ちになる出来事が過去にあったかどうかがポイントです。
嫌な気持ちになる代表的な出来事として、自殺や殺人事件などがあげられます。すぐに発見された場合でも自殺や殺人事件の場合は当然事故物件となります。
自殺による孤独死の場合は?
自殺による孤独死があった家は、心理的瑕疵に該当する事故物件になります。
繰り返しになりますが、心理的瑕疵は「それを知ると住みたくない」と人に嫌悪感や、抵抗感を感じさせるマイナス要因のことです。
自殺があった家(部屋)に対しては、ほとんどの人がこういった感情を抱くでしょう。
たとえば、自殺があったのが何年も前であるとか、リフォームをした、解体して建て直したなどの場合も、孤独死の原因が「自殺」であったケースでは告知義務のある事故物件とされるのが一般的です。
時間の経過は心理面への影響を和らげるものではありますが、心理的瑕疵を判断するのは売主ではなく借主や買主です。
仮に自殺があったのが10年前だったとしても、知らずに入居した人があとからそれを知った場合には、多少なりとも抵抗感を覚える可能性が高いでしょう。
実際、自殺から何年も経った物件を告知されずに購入した買主が、売主に対して損害賠償請求をした事例も存在します。
自殺による孤独死があった家は、何年経過していても事故物件にあたるということを覚えておきましょう。
ニュースなどに取り上げられた孤独死の場合は?
その家で孤独死があったということがニュースなどで取りあげられた場合、そこは事故物件として扱われてしまいます。
昨今では、孤独死がマスコミで取り上げられることが増えました。
コロナ禍で、高齢者が外に出る機会が急激に減ったこともあり、熱中症や凍死などもニュースでよく目にします。
たとえば、それが死後数日で発見された「自然死」といえるケースであったとしても、マスコミの影響力は大きいので、周辺に広く知れ渡ってしまい、『悲惨な孤独死』のイメージがついて心理的瑕疵に該当してしまうのです。
テレビではなく、WEBニュースに掲載された場合も、事故物件として扱われる可能性が高くなります。
長期間放置された孤独死の場合は?
事件性のない病死でも、発見が遅れると事故物件になってしまう場合があります。たとえ病死だとしても、何日も何ヵ月も発見されずに放置されていれば、においや汚れ、シミが家の中についてしまいます。「すぐに病院に搬送された病死」と「亡くなってから長期間放置された孤独死」とでは、買主の気持ちが違ってくるのは当然です。
「孤独死になるのは、亡くなってから発見まで〇日以上」といった明確な基準はありませんが、たとえ数日後の発見だとしても告知義務になることもあります。
あとからトラブルにならないように、孤独死と判断されるかもしれない場合は、前もって不動産会社に伝えておくのが得策です。
3章目:孤独死・事故物件の売却時に必要なことは?
孤独死や事故物件は、 「それを知ると住みたくない」という心理的瑕疵を感じてしまう方が多いですが、たとえそのような物件であっても、通常物件と同様の流れで売却できます。
具体的には、不動産会社に売却活動を依頼して、買主を探してもらう形式です。
ただし、孤独死物件を売却する場合、以下の2点に注意しましょう。
- 売却前に「遺品整理」が必要
- 売却時は孤独死があった事実を買主に必ず伝える
孤独死物件は売却前に片付けをしないと買主が見つかりにくい上、売却時は人が死亡した事実を買主に告知しなければならないと法律で定められています。
つづいて、孤独死物件の売却時における注意点を解説します。
1.売却前に「遺品整理」が必要
入居者だけではなく、オーナーである自分自身が、孤独死物件をこれ以上運営したくないと思うことも少なくはありません。
孤独死物件の運営を続けたくない場合、物件自体の売却を検討しましょう。
孤独死物件を売却する場合、そのまま売却するのではなく、以下の事前準備が必要です。
「遺品整理」で個人の遺品を遺族へ引き渡す
孤独死の場合、急に亡くなってしまったため、室内には故人の遺品が多く残っています。
故人の遺族と連絡が取れるのであれば、まず遺族に連絡して「遺品をどのように処分すればよいか?」を尋ねましょう。
可能であれば遺族に直接引き取ってもらい、処分してよいのであれば、遺族から処分費用を受け取って遺品整理業者に処分を依頼しましょう。
血痕が染み付いた家具などはもう使い物にならないため、処分するしかありません。
本やコレクション、貴金属や家電などは、売却できる可能性もあるため、遺品整理業者に買取してもらいましょう。それから、買取代金を遺品の処分費用や特殊清掃の費用に充てたり、遺族に返還しましょう。
入居者の遺品が残っている状態では、物件を貸すことも売ることもできません。
また、場合によっては僧侶を呼んでお祓いをして、亡くなった人の霊を鎮めることもあります。
「きちんとお祓いが済んでいれば、亡くなった人の霊も成仏しているだろう」と、安心して購入する買主も多くなります。
2.売却時は孤独死があった事実を買主に必ず伝える
孤独死があった物件を売却する場合、不動産会社と契約後、買主を探してもらいます。
このとき、物件の損傷が進んでいなくても、孤独死物件内で人が死亡した事実は必ず買主や不動産会社に伝える必要があります。
近年では「大島てる」などのサイトを利用して、一般人でも容易に事故物件の所在地などを知ることができます。
孤独死が起きた事実を隠蔽して売却した場合、その事実が発覚すると、購入者から売買契約解除や損害賠償請求を受ける恐れもあるため注意しましょう。
孤独死物件であることを伝えた結果、それでも買主が納得した場合のみ、売買契約を締結して売却できるのです。人が亡くなったのは物件内なので「建物を解体すれば事故物件と見なされないのでは?」と考える売主も少なくありません。
しかし、孤独死物件の建物を解体しても、人が死亡した事実を買主へ伝えなければならない告知義務がなくなるわけではありません。
建物を解体して更地として売る場合でも、物件内で孤独死が起きた事実を買主に告知しないと、孤独死物件は売却できないので注意しましょう。
孤独死があった物件でも、売却までの手順は基本的に通常物件と変わりません。
はじめに査定を申込みしてから、売却を依頼する不動産会社を決定して、物件を購入してくれる買主を探します。
ただし、購入希望者に対して、孤独死が起きた事実を説明する義務がある点のみ注意しましょう。
その結果「孤独死物件でも構わない」と買主に納得してもらえれば、あとは通常物件と同様に売却できます。
4章目:孤独死物件になった実家を売却する際の注意点
特殊清掃を行う
孤独死のあった事故物件は、そのまま売る(貸す)ことは難しいので、必ず特殊清掃業者によるクリーニングを行ってください。
特殊清掃業者とは、ゴミ屋敷や事件・事故現場の掃除、孤独死があった部屋の掃除を行う業者のことです。
特殊清掃業者とそれ以外のハウスクリーニング業者の決定的な違いは、「死臭を消すことができるかどうか」という点です。死臭を消すための知識や技術を持っているのが特殊清掃業者です。
特殊清掃業者は、孤独死で生じた汚れの除去、消臭、消毒作業を専用機器で行い、遺品の整理をし、家(部屋)を事故前の状態に戻す「原状回復」の作業を一手に引き受けてくれます。
事故物件の処理を素人が自力で行ったり、専門でないハウスクリーニングに任せたりすると、見た目を綺麗にしたつもりでも、染みこんだ汚れや腐敗臭が数日で戻ってきてしまいます。
事故物件になってしまった家(部屋)から孤独死の痕跡を消しさる技術や設備を持っているのは、特殊清掃業者だけです。
訳あり物件専門の不動産会社を利用する
孤独死が起きてしまった物件は一部の人気なエリアを除いて不動産としての価値が下落してしまいます。
また、様々なトラブル対応や業者との仲介が必要です。
このような経験を通して物件を手放そうと考える人ももちろんいます。
ただし、孤独死などが起きてしまった物件は価値が下がってしまっているので、高く売るためには、事故物件等の訳あり不動産に強い専門の業者に売却することで高く売却することができます。
相場よりも売却価格が安くなる
孤独死が起きた物件は、価値が下がってしまうのが一般的です。
ここでは、
孤独死が起きた物件の売却価格の下落率
孤独死が起きた物件の賃貸価格相場
の2点に分けて解説していきます。
売却価格は10~30%下落する
孤独死が起きた物件の売却価格は10~30%ほど下落するのが一般的です。
売却価格の下落率は、基本的に遺体の発見までにかかった時間によって左右されることが多く、
遺体発見が早かった物件価値は0~10%ほど低下
遺体が腐敗していた物件価値は20~30%ほど低下
となります。
遺体発見が早かった物件価値は0~10%ほど低下
孤独死した人の遺体発見が早かった物件であれば、売却価格は通常から0~10%ほどの低下で抑えることができます。
孤独死の場合は、他殺や自殺による事故物件よりも物件価値の下落率は大きくありません。
さらに、当日中や翌日など遺体発見までに日数を経なかった場合は、孤独死でも自然死扱いされ、告知義務が発生しない場合もあります。
この場合、物件の心理的瑕疵も低いため物件価値の低下は0%に抑えることができるでしょう。
遺体が腐敗していた物件価値は20~30%ほど低下
孤独死の遺体発見に時間がかかり、遺体発見時に腐敗が進んでいた場合は物件価値が20~30%ほど低下すると考えられます。
孤独死の遺体発見が大幅に遅れると、床や壁などにシミが残り、臭いを取り除くための特殊清掃やリフォームも必要になる場合もあります。
これら、特殊清掃やリフォーム費用などの負担も考慮すると、相場価格から20%~30%ほど価値が低下します。
物件価値の低下率は、立地の良し悪しによって左右されるのが一般的で、人気なエリアであれば、物件価値の低下率は最小限に抑えられるでしょう。
また、売却方法によっても物件価値の低下率は変わり、買主へ直接売却するよりも、不動産買い取り業者へ売却する方が高値で売れることが多いです。
孤独死の遺体発見に時間がかかってしまった物件は、価値が大幅に低下してしまうものだと諦めてしまうのではなく、事故物件専門の不動産買い取り業者や物件転売業者など複数の売却方法の中から価値が低下しづらい方法を検討してみましょう。
5章目:事例紹介
現在非公開
6章目:まとめ
孤独死は、昨今増加している高齢者の単独世帯で発生しやすい傾向にあり、事故物件になるか、ならないかの境界線上に位置する事例になりやすいと言えます。人との繋がりや交流が希薄な現代において孤立は誰にでも起こり得ることです。
「元気に暮らしていると思っていた」大切な人の思いがけない悲しい知らせが届く前に、家族や身近な人と連絡を取り合ってください。それが結果的に悲しみに暮れるご遺族を減らすことになるのではないでしょうか。
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