孤独死発見後の対応と流れとは?

離れて暮らす身内の孤独死が発覚した場合、このケースはどのような対応をすればいいのでしょうか。

ここでは相続人様向けに孤独死発見後の対応と流れ、その方法を解説いたします。

 警察に連絡する

身内が明らかに亡くなっている場合は孤独死の原因を確認するため、警察へ通報する必要があります。

生死がわからない場合は救急車を呼び、生死を確認してもらいましょう。

このときに大切なのは部屋のものをむやみに動かさないことです。

死因に事件性があった場合、疑われてしまうかもしれません。

なるべく現場はそのままにしておく必要があります。

 警察が家族に連絡する

身分証明書の確認などにより、身元がはっきりしたら、警察から家族に連絡が入ることになります。

家族に連絡が取れない場合、2親等・3親等などの血縁の近い家族に連絡が入ります。

その間、遺体は警察が保管庫で安置することになり、一泊2000円ほどの安置代を請求されることを覚えておきましょう。

 匂いや状態を確認する

孤独死は亡くなってから時間が経っている場合が多く、部屋に腐敗臭が充満していることがあります。

ただ、孤独死してから数日しか経っていない場合は、そこまで臭いがしないこともあるでしょう。

まずはどのくらいの臭いを放っているのか確認しましょう。

ここで気をつけたいのが臭いが強いからといって、窓を開けないことです。

窓を開けてしまうと近隣にまで臭いが広がってしまい、迷惑がかかる場合があるからです。

 消毒と掃除をする

孤独死のあったお部屋の消臭と清掃を自力で行う場合には限界があることを最初に覚えておきましょう。

孤独死の場合は亡くなってから時間が経っている場合が多く、自力では腐敗臭が残ってしまう場合があるからです。

そして、「自己防衛」と「近隣への配慮」をしなければならないからです。

また、近年の感染症の流行もあり、自己防衛にも限界があります。

自力で消臭と清掃を行う場合、これらのことを頭に入れておきましょう。

自力で消臭と清掃を行う場合、次の手順になります。

(1)防護服を着用する

孤独死のあった部屋の消臭や清掃を行う場合は防護服を着るようにしましょう。

これは最低限の装備と言っても過言ではありません。

また、腐敗臭は肌や髪の毛に染み込みますから、肌や髪の露出も最低限にしましょう。

また、マスクや軍手も用意するようにしましょう。

(2)必要な道具を準備する

消毒剤一般的には次亜塩素酸が使われている  
厚手のゴミ袋孤独死の臭気が漏れないように厚手のゴミ袋を用意する  
懐中電灯電気が止まっている現場の片付けをする場合の照明  
ウエス油をふき取るためのおよそ1キロ分の雑巾
スポンジ壁や床を傷つけない柔らかいスポンジ
洗剤キッチン用の洗剤  

(3)清掃を実施する

  • 【手順1】殺虫:市販の殺虫スプレーで害虫退治
  • 【手順2】消毒:感染症予防のため殺菌消毒剤を噴霧
  • 【手順3】汚染物の撤去:遺品類を撤去する
  • 【手順4】壁や床の掃除:体液や血液がしみ込んだ壁は撤去する
  • 【手順5】その他の掃除:市販の油用洗剤で部屋中を拭き、殺菌消毒剤を噴射
  • 【手順6】確認:悪臭が残っていないかを確認

家財を処分する

孤独死の現場の家財には腐敗臭や体液が染み込んでしまっていて、ほとんど使用ができなくなっている場合が多いです。

家財を処分するには一般廃棄物収集運搬業許可を持つ業者に依頼しましょう。

また、家財を処分するときに注意したいのは素手で家財に触れないことです。

家財にはウィルスや雑菌が増殖しているからです。感染症を防ぐためにも家財には素手で触れないようにしましょう。

 孤独死が発見されるきっかけは?

孤独死の多くが本人と連絡が取れないことで発覚する場合が多いです。

本人と連絡が取れなくなり、不審に思った大家や親族が本人の住居を訪ねてみたところ、亡くなっていたというものです。

ですから、孤独死の第一発見者は本人が住んでいる住居の管理人や親族の場合が多いです。

次に多いのが、近隣の住民が異臭や害虫の発生に気づいて、孤独死が判明するというものです。

孤独死が起きると、時間が経過するほど遺体は腐敗し、腐敗臭や害虫が発生します。

特に夏場の高温多湿の状況の下では遺体は腐敗しやすく、害虫が発生しやすくなります。

このような腐敗臭や害虫に気づいた近隣住民が通報することで、孤独死が発見されることがあります。

そして、残りは家賃滞納や郵便受けの郵便物によって、アパート、マンションの管理会社や大家さんが異変に気づくケースです。

家賃の支払いが滞納されていて部屋を見に行くと孤独死をしていたケースもよくあるようです。

このように、孤独死が発見されるきっかけは音信不通が最も多く、次に近隣住民が気づくことが多いです。

孤独死の処理・葬儀以外にも必要なことがある?

孤独死の処理・葬儀以外にも必要なことはたくさんあります。ここでは孤独死の処理・葬儀以外に必要なことを紹介します。

公共料金の変更・解約手続きをする

  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • 固定電話回線

などの故人が契約していた公共料金を解約する必要があります。

契約人死亡による解約・停止または継承・名義変更等の手続きをするようにしましょう。

ここで注意したいのは特殊清掃や遺品整理の前に公共料金の解約をしないようにすることです。

これらの作業に水道やガス、電気を使用する場合があるからです。

作業が終わってから、解約するようにしましょう。

水道や電気の解約については、解約を代行してくれる特殊清掃専門業者や遺品整理業者がいますから、聞いてみるといいでしょう。

その他の契約の解約手続きを行う

  • NHK放送料金
  • インターネット回線、プロバイダ料金
  • 携帯電話料金
  • レンタルビデオ・DVD
  • 習い事・お稽古ごと・スクール月謝
  • クレジットカード

これらの解約手続きをすることが必要になってきます。

最近ではweb明細のものが多く、郵送物から判断することが難しくなってきています。

故人の居室の遺品だけでは契約状態を調べるのは不可能と言えるでしょう。

故人のクレジットカードの明細書や契約書の類、通帳の引き落としの記録などから、何を契約していたのか判断するようにしましょう。

保険・年金関連の手続きを行う

健康保険や年金関連は手続き期限が死亡後10日から14日とされているものが多いです。

早めに必要書類を準備して、役所で手続きを行うようにしましょう。

健康保険資格喪失届【死亡後14日以内】

提出先会社の健康保険の場合は勤務先、または健康保険組合窓口 国民健康保険は市区町村の役所窓口
必要書類健康保険証等

加入中の保険組合によって、手続き方法や必要書類が異なってきます。

故人の保険証から加入している保険組合をチェックし、手続き方法や必要書類を問い合わせるといいでしょう。

世帯主の変更手続き【死亡後14日以内】

提出先世帯の在住する市区町村役所の窓口
必要書類印鑑、本人確認書類(免許証)等

故人が死亡後に一人世帯になる場合は世帯主変更の手続きはありません。

けれども、以前、同居していた家族が転出後も住民票の手続きを行っておらず、故人が複数人数の家族の世帯主の場合があります。

この場合は新しい世帯主を登録する手続きが必要となってきます。

年金受給停止の手続き【死亡後14日以内~(年金により異なる)】

提出先社会保険事務所や自治体の国民年金課 または加入中の年金窓口
必要書類年金手帳・年金証書・年金受給者の死亡届 または除籍謄本等

年金手帳や故人の口座への年金の入金明細から年金の受給状況が確認できます。

受給停止に必要となる必要書類や窓口は加入年金によって異なります。

事前に問い合わせておくとスムーズに手続きが進むでしょう。

介護保険資格喪失届【死亡後14日以内】

提出先故人の居住する市区町村福祉課等
必要書類介護保険証、マイナンバーカード、その他届出人の身元確認書類

必要書類は自治体によって異なってきます。各自治体の介護保険窓口に事前に問い合わせるようにしましょう。

なお、故人が老人医療受給者や身体障害者受給者である場合も、受給停止の手続きが必要となります。

保険証や受給者証がないかどうか、遺品を確認するようにしましょう。

孤独死で発生する手続きと費用一覧

火葬、葬儀代(20万円~200万円)

孤独死の葬儀は直葬を行えば、20万円ほどの負担で済みます。

けれども、通常通り、お通夜や告別式を行えば、200万円ほどかかる場合があります。

 遺品整理費用(30万円~100万円)

自宅内の遺品を整理して、残っているものをすべて撤去する作業は自宅の大きさや物の量によって、金額が大きく異なってきます。

通常○tトラック何台分という目安で金額が決まるようです。このときに特殊清掃まで行えば、金額の負担もさらに大きくなるでしょう。

 相続手続き費用(30~120万円)

相続手続きをしてもらう司法書士や行政書士に支払う報酬です。

孤独死の場合は、遺産が不明な場合が多いです。

そのため、最初から行政書士や司法書士などの専門家に依頼することがほとんどです。

どの事務所でも遺産の大きさに比例して、手続き費用の負担も大きくなるようです。

 相続放棄費用(10~30万円)

借金が多い場合は司法書士か行政書士にお願いして、家庭裁判所に対して相続放棄を行う手続きが必要となります。

相場として司法書士ならば10万円〜15万円、弁護士ならばおよそ30万円ほどです。

なお、自ら家庭裁判所に申述すれば、相続放棄費用はかかることはありません。

 相続税申告費用(30~120万円)

相続税の基礎控除を超えるほどの遺産がある場合は税務署に申告しなければなりません。

通常、税理士に相続税申告書を作成してもらい、提出することになりますので、税理士報酬として30万円〜120万円となります。これも遺産の総額に合わせて、金額が変わってくるようです。

 賃貸物件での大家への損害賠償(10~100万円)

賃貸物件での孤独死の場合、大家さんに損害賠償をしなければなりません。

大家さんにとってみれば、部屋の中で人が亡くなった事実が残れば、次の入居者の客付けが難しくなりますし、家賃を相場よりも下げて募集をかけなければいけなくなります。

今までよりも家賃が取れなくなれば、大家とすれば死活問題です。

損害賠償の金額は大家さんとの話し合いによりますが、どの範囲まで損害を賠償するか悩ましい部分かもしれません。

部屋の清掃費用だけではなく、孤独死の発生を原因として今後の賃料下落分・空室が数ヶ月続く分を含めて、総合的に考慮した金額を支払うべきだと考えられます。

孤独死があった部屋の精算にかかる費用は、部屋の中の残置物撤去費用・清掃費用や大家への損害賠償など全部含めて少なく見積もっても数十万円多ければ200~300万円程度はかかることも多いです。

孤独死される方の部屋は、使用状況が悪くて物に溢れていることが多いため、清掃費用にも多額のお金がかかります。

大家さんによっては何も言ってこない場合もありますが、お金の話が出てきた場合、お互いに納得できる金額を支払い、早めに終わらせたほうが良いでしょう。

 その他、滞納分の支払い(?円)

孤独死で故人がなくなった場合、借入金、滞納税金、保険料や家賃、固定資産税などを滞納している場合があります。

相続人がその滞納税金を支払う義務があるのかが気になるところですが、結論としては支払い義務があります。

どのくらい滞納があるかどうかは、自宅の捜索で債務書類を見つけ出すしかありません。

①住民税

 市区町村の納税する税金で、前年の収入を基準に課税される税金です。

②健康保険料

 税金ではありませんが、税金に近いものの中で、よく滞納されているのが健康保険料です。

③固定資産税・都市計画税

 不動産を所有している者に課される税金で、不動産の価値によってその納税額が変わります。

④所得税

 市区町村ではなく税務署に納税する税金です、住民税と同様に前年の収入を基準に課税されます。

では、滞納税金を支払えない場合にはどうすればいいのでしょうか?

相続人が被相続人の滞納税金を支払いたくない場合や支払いたくても支払えない場合には、相続の開始があったことを知ってから3カ月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う」ことで、滞納税金を支払う必要はなくなります。

なお、相続放棄した場合には、家庭裁判所が発行している「相続放棄申述受理通知書」の写しなどを地方自治体に提出する手続きなどが必要となります。

ただし、相続放棄してしまうと滞納税金のようなマイナスの財産だけでなく、プラスの財産も承継できなくなるため注意してください。

また、一度相続放棄してしまうと、たとえ相続の開始があったことを知った時から3カ月以内でも撤回できません。

なお、相続税の計算上、被相続人の死亡保険金は相続人1人につき500万円まで非課税とする取扱いがありますが、相続放棄した人が支払いを受けた死亡保険金にはこの非課税の取扱いの適用はありませんので注意が必要です。

 5章目:事例紹介

これまでの現場作業の中で、強烈な印象を残した自殺の現場があります。

ただしこれは、自殺であると同時に、他殺、つまり殺人事件の現場でした。

 亡くなったのは、ある閑静な住宅街の高級住宅に住む定年間近の夫婦ふたりで、依頼者は30代の息子。

そして、夫婦と同居していた20代の娘が第一発見者でした。

 夫はうつ病を患っていたそうで、妻の一言で激昂し、出刃包丁で妻をめった刺しにした挙げ句、自殺したのだと聞かされました。

結婚して別の場所に住んでいました息子さんからの依頼で駆けつけたのですが、野次馬と警察に囲まれた家の中に入ると、現場はまさに血の海でした。

 血痕をたどると、事件当時の様子がはっきりとわかりました。

キッチンにはスリッパの跡、リビングには足跡があったことから、キッチンからリビングにかけて、妻が夫に刺されながらも逃げようとしていたことがわかりました。

そして浴室は一面血まみれでしたから、絶命するまでそこで刺し続けたのだと思います。

 そして、リビングのソファには、片側にだけ激しい血しぶきの跡がありました。

おそらく夫は、妻を殺害したあと、ここに座って首を切って自殺したのでしょう。

 ソファもじゅうたんもかなりの量の血液が染み込んでいましたし、部屋中飛び散った血は、引き出しの中にも及んでいました。

 事件発生からそれほど時間は経っていませんでしたが、血痕が広範囲に及んでいたため、すべてをクリーニングするには時間がかかりそうでした。

しかも、殺人事件現場は通常、1週間ほど立ち入り禁止になってしまいます。

その間に血液が凝固してしまえば、状況はひどくなるばかりです。

 まだ新築同然の家でしたが、隅々まできれいにするには時間がなかったため

これではもうここで生活はできません。表面上の清掃しかできませんが、いいですか?

と話しました。

娘さんはかなり動揺していましたから、完全に清掃できなくても、少なくとも、この部屋を見て思い出さないように処置をする必要があると思ったのです。

つまり、両親の凄惨な死の記憶を消すためだけの清掃です。

 その後、この家がどうなったのかはわかりません。

 事故物件を高く売却するポイントとは?

 事前に特殊清掃すること

事故物件の売却価格は安いイメージがあると思いますが、できるだけ高く売却するポイントの一つに事前に特殊清掃をすることがあります。

特殊清掃をすれば、血液や体液などによる室内の表面的なダメージだけではなく、においまで完全に取り去ってくれます。

特殊清掃をしないまま、不動産会社に査定をお願いすると大きく査定は下がります。

なぜなら不動産会社はその物件がちゃんと売れるかどうかを重視するからです。

特に臭いが残っているとイメージが悪くなるため、においも残さない技術レベルが高い特殊清掃専門業者に清掃をお願いしてから査定してもらうようにしましょう。

特殊清掃をするよりも、リフォームをしたり建物を取り壊して更地にしたりしたほうが高く売れるのでは…」と考える方がいるかもしれません。

しかし、自己判断で事故物件の取り壊しやリフォームをすると、少なくとも数十万、更地にするには数百万の費用が発生します。その費用は、持ち出しになってしまいます。

事故物件は更地にしたところで事故物件であることには変わりなく、告知義務は残っているからです。

 事故物件を専門に扱う買取業者に相談すること

事故物件には心理的な不安や抵抗感があるため、売り出しても需要が低く価格も下がるのが一般的です。

事故物件の価格は「原因となった事件・事故の内容」によって大きく異なりますが、通常の物件より20~30%は下がってしまいます。

価格を下げても必ず売れるとは限らないため、事故物件を高く売却するには事故物件を専門に扱う買取業者に相談することが大切です。

事故物件の買取は専門業者へ依頼すべき2つの理由

①事故物件を即現金化できる

事故物件の専門買取業者へ買取依頼をすると通常ですと、仲介業者なので買主を探す必要があるのですが、事故物件の専門買取業者はそもそもが買取業者です。

そのため、仲介で買主を探す必要がなく、すぐに事故物件を現金化できます。

なかなか売れない事故物件でも即現金化できるのは、事故物件専門の買取業者へ買取依頼をする大きなメリットといえます。

事故物件の運用に長けているので買取価格が下がりにくい

事故物件を専門に扱う買取業者の場合、事故物件を取り扱うノウハウが豊富なため、高額かつ最短数日のスピード買取が可能です。その会社で事故物件の修繕やリフォームを行ってくれるからです。

まとめ

事件現場清掃人

孤独死発見後の対応と流れ、孤独死が発見されるきっかけ、孤独死の処理・葬儀以外にも必要なこと、事例の紹介、事故物件を高く売却するポイントを紹介しました。

孤独死発見後は契約の解約手続きなど行うことがたくさんありますが、役所や自治体に問い合わせるなどして、落ち着いて対応するようにしましょう。

 当社では孤独死された方の部屋の原状回復を徹底しています。

できるだけ最短で原状回復作業を進めさせていただいておりますので、事件現場清掃会社へのご質問、特殊清掃・遺品整理の無料見積もり依頼等ありましたら、お問い合わせくださいませ。